m-editの日記

加計学園問題を普通の女性として追及していきます。

地元、今治市や愛媛の方たちに思うこと

 「今治加計獣医学部を考える会」が主催した8月19日の講演会の録画を見た。

 寺脇研さんが情熱的に語っておられる姿、黒川さんが冷静に分析して話しておられる姿に感銘を受けたが、対照的に、会場の今治市民が「大学が新設される」ということについて、ほとんど準備らしいものがないことも見てとれた。

 調べてみると、今治市側から大学設立はおろか大学誘致についてもほとんど説明らしきものがなされていないようだ。

 特区諮問会議では、加戸元愛媛県知事今治商工会議所顧問という肩書で出席)が「地元の悲願」と語っていたが、そんな「大学待望論」は感じられない。むしろ、「国家戦略特区という国が決めたことなのに、何故、今治市補助金を出すのか」といった大学誘致の基本的な仕組みがまだ周知されていないという印象がある。

 それならば、今からでも間に合うので、今治市民は学部の新設(=私立大学の誘致)に反対の声を上げるべきだ。このケースのような公私協力方式による大学設立は、当該自治体と大学が緊密に連携・協力し、教育目的を共有して運営していかなければ大半が失敗に終わる。失敗というのは入学者の定員割れが続き、最悪、大学が撤退することだ。自治体には借金だけが残る。

 第3セクター方式で、自治体が学校法人に参加しているようなケースでは、大学を公立にすることで存続をはかることができる(長岡造形大学、1994年設立、2014年公立法人化 名桜大学、1994年設立、2014年公立法人化 など)。だが、自治体の関与が低い場合、大学の誘致であっても、愛知県新城市が誘致した愛知新城大谷大学三重県松坂市が誘致した三重中京大学は共に2013年に閉学している。

 まして、加計学園岡山理科大学今治市に新設するのは獣医学部だけなので募集が困難になったとき、撤退するにあたっての制約は少ない。そのあたり、資金援助にあたって、何か条件をつけているのだろうか。

 8月19日の講演で寺脇さんが語っていたように、私立大学の将来は必ずしも明るいものではない。公私協力方式は、80年代の半ば以降に、大学の地方誘致で国土の均衡ある発展を図りたい国土庁、産業集積型の街づくりを目指す通産省地域活性化の切り札として大学を誘致したい地方自治体、18歳人口の急増期を国立大学の拡充でなく私立大学に委ねたい文部省という「公」の後押しがあって誕生した大学なので、学校法人に教育意欲や力量がなくても、そして何よりも自己資金に乏しくても大学の新設を許してしまう面を持っている。

 土地と建物の建築費援助96億円が、「不当だ」と思うなら声を上げるべきだ。96億円かけても入学者を大歓迎し、共に学ぶという市民が大半という状態でなければ獣医学部の未来はない。