m-editの日記

加計学園問題を普通の女性として追及していきます。

疑惑は山積したままの獣医学部新設

 設置審は「認可保留」となったが、今治市で校舎はどんどん建っている。獣医棟の図面が80%ほど、表沙汰となり、実習施設の不足や実験設備においてのバイオハザードの心配まであるらしい。

 この機会に、内閣においての「特区諮問過程」における不審点を整理してみたい。提案主体の◆今治加計学園、担当官庁である◆政府(内閣府文科省含む)、推進側の◆特区諮問会議・WGのそれぞれに不審点がある。

今治加計学園サイド

1.獣医学部の必要性が希薄

 鳥インフルエンザなどの感染症対策や公務員獣医師不足を理由にしているが、根拠としては薄弱。(愛媛県には全国レベルで見ても相当しっかりした家畜保健衛生所が4か所あり、防疫体制も整っている)さらに重要なのは、加計学園からの獣医学部設置の信念・決意の表明がないこと。情熱や意欲、使命感が感じられない。

2.今治市議会で補助金の拙速承認

土地の無償譲渡、校舎建築費の半額補助が住民説明や議会での議論なく2017年3月3日に決定、承認された。補助金の根拠となる設計図も未確認。

3.工事開始判断が不明

特区諮問会議で検討中の平成28年10月、加計学園はボーリング調査を行い、校舎建築に着手。総工費200億円近いことからすると、あまりに無謀、何らかの「保証」を疑わせる。

◆政府(内閣府文科省含む)

1.今治市加計学園と早期に会談

今治市が特区に選定される以前、官邸において首相補佐官今治市加計学園と面会。加計理事長は松野文科相、山本地方創生相、山本農水相と面会。

2.内閣府 今治市を特別扱い

特区において、今治市分科会を設置(京都府には設置せず)。平成28年9月21日の同分科会に農水省文科省の出席を要請

3.山本大臣 獣医師会に働きかけ

特区における公募前に山本大臣は獣医師会に「加計学園獣医学部を新設することになった」と報告

4.文科省 加計学園に事前相談実施

特区での公募以前である平成28年11月に、文科省加計学園に学部新設の相談に乗る

◆特区諮問会議・WG

1.WG委員、諮問会議委員の利益誘導・利益相反の疑い

議長である安倍総理加計学園はもとより、竹中委員とパソナ、原委員と特区ビジネスコンサルティングなど、受審側と提案主体が一体の事例さえある。

2.議事録・議事要旨が未公開

WG委員が行ったヒヤリングは、関係省庁に対するもの12.7%、提案に対するもの35.9%しか公開されていない(情報公開クリアリングハウス 2017年7月20日調べ)。獣医学部についても3月4日以降にHPに掲載。

3.ヒヤリング、諮問会議以外の情報は非公開

省庁間、提案主体と各省庁の協議や手続きは非公開であり、不明。プロセスを検証できない。

4.京都産業大学の提案を軽視

平成28年10月17日の京都府京都産業大学獣医学部設置抑制解除の提案をほとんど検討せず、次のステップに諮問会議が進んだ。

 

 文科省内閣府の間の協議が不透明なことを除いたとしても、不審点はこれほど多数に及ぶ。

 言った、言わないの水掛け論であるとか、議論は終了とか論外だ。大学設置という「学士を養成する」特権を与えているのだから、きちんとした説明がなければならない。

 臨時国会に向けて、民進党もますます追及を強めてもらいたいと思う。

 

 

 

 

今治市の高等教育機関

今治明徳短期大学があるのに、何故、大学を誘致?

 加戸元知事の「大学待望論」をある程度、信じていたので今治市には高等教育機関がないのだと思っていた。ところが、創立50周年を迎えた男女共学の短期大学、今治明徳短期大学が市街地(今治市役所から徒歩圏内)にあった。

 ご多聞によらず、定員割れして久しい短期大学のようではある(全国的な傾向)。とはいえ、社会人入学制度もあり、公開講座も行っていて、地域に開かれた短大であろうと努めているようだ。

 短大だけを経営している学校法人ではなく、中学や高校も併設しているし、戦後に学制が新しくなったときに学校法人を設立しているのだから歴史もある。ということは、地元で入学者が確保できる見通しがあれば、4年制大学を開学する意欲は、あったに違いない。短大のままで頑張っている、そして定員割れに苦しんでいるということは、今治市近辺に新たに4年制大学を設置するようなニーズはないということではないか。加戸元知事は「どの大学にもすげなくされた」と嘆くより、今治明徳短大の将来について、短大関係者とともにもっと知恵をだし、トライアルすべきだったのでないか。

 すでにある短期大学を無視し、ないものねだりで若年層の誘導を図るなんて、不合理かつ理不尽な方策だ。

 今治明徳短大のホームページ⇒今治明徳短期大学 | 大学案内 | 大学の歩み

地元、今治市や愛媛の方たちに思うこと

 「今治加計獣医学部を考える会」が主催した8月19日の講演会の録画を見た。

 寺脇研さんが情熱的に語っておられる姿、黒川さんが冷静に分析して話しておられる姿に感銘を受けたが、対照的に、会場の今治市民が「大学が新設される」ということについて、ほとんど準備らしいものがないことも見てとれた。

 調べてみると、今治市側から大学設立はおろか大学誘致についてもほとんど説明らしきものがなされていないようだ。

 特区諮問会議では、加戸元愛媛県知事今治商工会議所顧問という肩書で出席)が「地元の悲願」と語っていたが、そんな「大学待望論」は感じられない。むしろ、「国家戦略特区という国が決めたことなのに、何故、今治市補助金を出すのか」といった大学誘致の基本的な仕組みがまだ周知されていないという印象がある。

 それならば、今からでも間に合うので、今治市民は学部の新設(=私立大学の誘致)に反対の声を上げるべきだ。このケースのような公私協力方式による大学設立は、当該自治体と大学が緊密に連携・協力し、教育目的を共有して運営していかなければ大半が失敗に終わる。失敗というのは入学者の定員割れが続き、最悪、大学が撤退することだ。自治体には借金だけが残る。

 第3セクター方式で、自治体が学校法人に参加しているようなケースでは、大学を公立にすることで存続をはかることができる(長岡造形大学、1994年設立、2014年公立法人化 名桜大学、1994年設立、2014年公立法人化 など)。だが、自治体の関与が低い場合、大学の誘致であっても、愛知県新城市が誘致した愛知新城大谷大学三重県松坂市が誘致した三重中京大学は共に2013年に閉学している。

 まして、加計学園岡山理科大学今治市に新設するのは獣医学部だけなので募集が困難になったとき、撤退するにあたっての制約は少ない。そのあたり、資金援助にあたって、何か条件をつけているのだろうか。

 8月19日の講演で寺脇さんが語っていたように、私立大学の将来は必ずしも明るいものではない。公私協力方式は、80年代の半ば以降に、大学の地方誘致で国土の均衡ある発展を図りたい国土庁、産業集積型の街づくりを目指す通産省地域活性化の切り札として大学を誘致したい地方自治体、18歳人口の急増期を国立大学の拡充でなく私立大学に委ねたい文部省という「公」の後押しがあって誕生した大学なので、学校法人に教育意欲や力量がなくても、そして何よりも自己資金に乏しくても大学の新設を許してしまう面を持っている。

 土地と建物の建築費援助96億円が、「不当だ」と思うなら声を上げるべきだ。96億円かけても入学者を大歓迎し、共に学ぶという市民が大半という状態でなければ獣医学部の未来はない。

加計学園獣医学部について設置審は判断保留

 

 8月9日に文科省の設置審議会が開催され、8月末の認可は少なくとも「ない」ということが報道された。こんな不正をベースにした学部が新設されるなんて大問題。今後とも見守っていきたい。

 以下はNHKのニュースから

学校法人「加計学園」の来年4月の獣医学部新設について審査する文部科学省の審議会が9日開かれ、実習計画などが不十分で課題があるとして、認可の判断を保留する方針が決まり、今月末に予定されていた大臣への答申は延期される見通しとなりました。

加計学園」が来年4月に愛媛県今治市に新設を計画している獣医学部をめぐり、文部科学省の大学設置審議会は、ことし4月から審査を行い、今月末に結論をまとめて大臣に答申する予定でした。

これまでに審議会は、教員の数や学生の定員について見直すよう求め、学園は、定員を当初より20人少ない140人としたほか、教員を増やす案を提出していました。

関係者によりますと、9日、非公開で審議会が開かれた結果、認可の判断を保留する方針が決まり、今月末に予定されていた大臣への答申は延期される見通しとなりました。保留となった理由としては、学生に対する実習計画が不十分でライフサイエンスの獣医師などを養成するうえで教育環境が整っておらず、課題があるとされたということです。

審議会は今後、学園に修正案の提出を求めたうえで、来月以降、改めて来年4月の新設について審議を行い、認可の判断を行う見通しです。

 

 

加計問題、ワーキンググループ委員の主張への疑問

ちまたに広がる挙証責任論とは

 加計問題は、私のように「学部の設置認可が出るのかどうか」を見守っている立場からすると、これからが正念場。だが、政争の道具にされている感もあり、真相解明が進まない現状に「どうでもいい」問題となっている面もあるかもしれない。

 それに拍車をかけるように、問題の隠ぺいを図る人たちが「文科省の挙証責任論」を声高に提唱するようになった。単純に言えば、「規制緩和できない理由を文科省は立証できなかったのだから文科省の負け」で、獣医学部の新設は正当、というもの。規制緩和が正当かどうかを「勝ち、負け」に矮小化している論なのだが、これが案外、広く受け入れられている。(詳しく知りたい方は、郷原信郎氏のブログをご参照のこと)

加計問題での”防衛線”「挙証責任」「議論終了」論の崩壊 | 郷原信郎が斬る

 

文科省はWGにどんな説明をしたか

 獣医学部の新設について特区WGは文科省に2回のヒヤリングを行っている。1回目は平成26年8月19日、提案主体は新潟市だった。文科省からの説明は高等教育局長が行っており、平成25年の「獣医師養成のあり方について 有識者会議からの提言」を紹介し、はっきりと「獣医学部新設というテーマを特区で議論することに反対」の意思を述べている。

〇吉田局長 文科省においては、25年3月末に「これまでの議論の整理~教育改革の進捗状況と獣医師養成の在り方について~」という取りまとめを行いましたが、その報告書では入学定員も含む今後の獣医師養成のあり方について、獣医師養成についての議論は特区制度になじまないため、全国的見地から行うのが前提であるということ、また、獣医系大学全体の定員等については、獣医学関係者を初めとして、隣接分野や関連分野の専門家等も含め、さらに広く意見を得ていく必要があるということ。

 2回目は平成28年9月16日。ここでは、「2015再興戦略改訂版で示された4条件」を示しつつ、今治市からの提案内容では、既存の獣医学部で対応可能なこと、またライフサイエンス分野での獣医師の需給は明らかでないが、通常の獣医師は足りていることから、獣医学部新設に反対という立場が述べられている。

 〇浅野課長 1つは、今、申し上げた再興戦略の改訂版の2015年の記載も踏まえまして、提案主体による構想が具体化した場合には近年の獣医の需要の動向も考慮しつつ全国的見地から検討を行うとしているところでございます。幾つか論点というか前に御提出いただいた資料について、例えばまず1つ目は、国際的対応の可能な獣医師の養成ということがございます。これにつきましては、全国大学獣医学関係代表者協議会におきまして、全国国際獣疫事務局が定めた獣医学に関する教育内容を反映させたモデルコアカリキュラムを平成23年に定めて、各大学において教育内容の質の改善を図っております。各大学においてモデルコアカリキュラムに基づいて現在、公衆衛生学総論、公衆衛生学実習、食品衛生学等に関する教育研究も実施しておりまして、毎年公衆衛生獣医師というのは輩出をしております。

危機管理発生時の学術支援拠点につきましては、動物由来感染症の統御や家畜の越境感染症の貿易への対応は、一義的には国や県において担うものであります。国や県において危機管理対応を行う人材の養成については、各大学においてモデルコアカリキュラムに基づいて人獣共通感染症学、動物感染症学等に関する教育研究を実施しているところであります。

3点目、獣医学の領域における人間運動生理学の応用については、そのモデルコアカリキュラムに生理学や臨床学等の講義、演習が明記されておりまして、各大学においてライフサイエンス分野での活躍できる人材の養成に取り組んでおりますが、その具体的な需要は明確となってはおりません。

この3点について、今、申し上げましたように、各大学でそれぞれコアカリキュラムで取り組んでいる内容であるのではないかと考えております。

  獣医学部を新設しない(=規制緩和しない)理由として、私は十分だと考える。

獣医学部新設には国庫負担を伴う

 獣医学部新設という規制緩和は、薬局やコンビニ出店の規制緩和とはかなり様相が異なる問題だ。大学には教育の質を保つために国庫から毎年補助金が投入される。決して少ない金額ではない。共済事業団が公表している全570大学の一覧がこれ

http://www.shigaku.go.jp/files/s_hojo_h28a.pdf

 学生一人当たりでいうと1年間の平均は15万円らしいが、学部系統で当然異なるはずだ。そうした統計はないので単純な比較を試みた。1位の早稲田と9位の北里大学で比べてみると、

1位 早稲田 90億円 学部生 42860人 一人当たり21万円

9位 北里大学 41億円 学部生 7233人 一人当たり56万円

実習設備や人的資本の配置が濃厚になるので、医学部系はやはり補助金も多いのだ。社会的ニーズがそう高くないのに、高コストの学部を軽々に設置してほしくないものだ。

挙証責任のたとえ話

WG(および内閣府)と文科省の挙証責任について、前川喜平参考人は国会で以下のように述べた。

内閣府が勝った、文科省が負けた、だから国民に対してはこれをやるんだと説明する、というのでは国民に対する説明にはならない。挙証責任の在りかということと、国民に対する説明責任とは全く別物で、国民に対する説明責任は政府一体として負わなければならない。挙証責任があって、その議論に負けたから文科省が説明するんだという議論にはならないはずだ。

まったくその通りなのだが、これを「ある一家の24時間風呂購入の是非」にたとえてみようと思う。

家計を管理しているのは母、2人の娘がおり、姉が24時間風呂を買ってほしいと言い出した。妹は反対。「そんなの必要ない。今のお風呂で十分」と言う。姉は、業者からメリットを聞かされ、すっかり24時間風呂に入れ込み、妹に「反対の理由を説明せよ」と。妹は、「不要」と言うばかりでランニングコストなどの見通しは示さなかった。そんな妹の姿勢に姉は、「説明しなかったんだから妹の負け。お母さん、24時間風呂買って」と言ってきた。

こう言われて、「はいはい」と24時間風呂を買う母は誰もいないだろう。確かに、妹から反対の理由は十分に提示されなかったかもしれないが、現状で十分というだけで足りているともいえる。むしろきちんと説明して欲しいのは、大きな家計支出を自分に迫る姉からだ。「24時間風呂のメリットをお母さんにちゃんと説明しなさいよ」

ちょうど、こんな感じになるのでは、と思う。母の立場が私たち国民だ。

とはいえ、この特区の議論の中で日本の獣医学教育がいろいろな問題を抱えていることもわかってきた。定員増や学部の統合再編などが広く論議されていくといいなと思っている。

 

不正は明らか! 加計学園への事前相談

元・大学職員としては、25日の国会集中審議ではっきりと「不正」を感じたのは、文科省の事前相談についてである。

 

松野大臣は24日、文科省が去年11月、加計学園に対し学部新設に向けて様々な助言をしていたことを示す文書の存在を認めました。一方、同じく新設を目指していた京都産業大学は、去年10月に行われた国家戦略特区のヒアリングの中で、文科省と事前協議をしたものの、「門戸は開かれていないため、具体的な協議を進めることはできないとして、はねつけられている」と証言した記録が残っていて、25日の国会で、野党側がこの対応の違いを追及しました。”

 

これは、京都産業大学が不可解な「獣医学部新設断念インタビュー」をした際の副学長の発言でも触れられている。

 

”(特区ワーキンググループで)2016年10月17日にヒヤリングがあり、それ以降、内閣府からは連絡はない“”

加計学園は、特区で対象となっている主体なので、と松野文科大臣は弁解していたが、11月の段階では特区の会議において提案主体は「今治市」であって、事業主体として加計学園は登場していない。(この点、京都の「京都府京都産業大学」が合同で提案しているものとは形が違う。もちろん、内容においても具体性においても各段に優れている)

 

 こんな不正を見逃してよいはずがない。

 

 

記者会見で配布された文科省文書について

特区の議事録と合わせて読みたい文科省文書

前川喜平氏が「記載されている内容は事実」と認めた文科省文書は、現在のところ内閣府や官邸からは「記憶にない」という答弁があるばかりで、事実と認められているわけではない。

けれども、特区の議事録と対比して読めば、いずれも「なるほど」と納得できる内容で、文科省側に内閣府からそういう指示があったのだろうとうなずける。

ゴマブックスで購入できるが、てっとり早く手に入れるには、「国有地の低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」nホームページからダウンロードするのが一番。解説付きなのでよくわかる。ぜひ、ご一読を。
kokuyuuti-sinsoukaimei.com