m-editの日記

加計学園問題を普通の女性として追及していきます。

日本の畜産業を数字で見ると

 農水省の畜産統計から、都道府県別の一覧表を作ってみた。飼育戸数や頭数の順位をつけて一位をピンクに、10位までを黄色にして眺めていると、いろいろな解釈が思い浮かぶ

 まずわかりやすい印象として、畜産業は北海道が最も盛んだということ。牛がダントツで一位なのはもちろん、豚やブロイラーも飼育数ではベスト10に入っている。次が鹿児島と宮崎。日本の畜産は、北と南に偏在している。

 獣医学部新設についての国家戦略特区の議論の中で「獣医学部は東に偏りすぎ」というのがあったが、一覧を見ると、それも妥当に思える。西は、九州は割合に畜産が盛んだが、近畿や中国は全国順位で下位県が多い。

 さらに、日本海側はいったいに数字が低い。自分自身が福井県出身だからすぐに目がいった。牛も豚も総数47のうちの40番台。極端に少ない。たんぱく源として魚をよく食べるからだろうか、とか、宗教(浄土真宗)のせいかと考えた。

 現在では流通が発達しているから畜産県≠食肉消費多量県だろうが、私の幼年時代、福井では牛も豚も鶏も肉というものをあまり食べなかった。そんな食文化は案外、根強く残っているのかもしれない。

 と、前置きが長くなったが、畜産の現状はこうなっている。

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加戸氏の獣医学部熱望論に根拠なし

加戸氏の獣医学部熱望論は畜産の実態と防疫体制から根拠薄弱とわかる

  これまでこのブログでは公私協力方式での大学誘致には先行き不安があることを紹介してきたが、国会で「地元がいかに加計学園を歓迎しているか」熱弁をふるったのが加戸守行氏だ。加戸氏は、今治新都市構想を愛媛県今治市が策定した当時の愛媛県知事なので、構想の中核となる大学誘致が宙に浮いたままでは、失政の証拠が残っているようで気がかりなのだろう。

 実際、知事時代に熱心に誘致していたのは松山大学の総合マネジメント学部であり、獣医学部である必要はまったくないのだが、「後付け」で鳥インフルエンザ口蹄疫対策を持ち出し、愛媛県の苦闘を述べていた。宮崎の畜産農家は、この言葉をどう聞いただろうか。

 農林水産省は、家畜統計を毎年、きちんと公開しているので、抜粋して掲載する。牛の北海道、豚の沖縄など、抜きんでている県と比べても仕方がないので、海に面した「防疫体制が気になる」県を抜粋して表にしてみた。愛媛県が他県に比べて、「防疫体制に課題がある」わけではないことは理解していただけると思う。

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今治キャンパス(獣医学部)には図書館がない

図書館がない、獣医学部なんて

 

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違法ではなく、大学設置条件に外れているわけではないが、予定されている加計学園獣医学部校地には図書館がないようだ。

 これは残念だ。

 確かに、図書館は大学にあればよいので、一学部が備えるようにという「大学設置基準」はない。しかし、今治市のキャンパスに学ぶ学生が岡山県のキャンパスにある図書館に通うなんで無理に決まっている。

 図書館は、蔵書という形で過去の知識を集積するだけでなく、自習とグループワークを組み合わせるなどして、知の交流の要となる施設だ。利用を地域に開放するなら地域貢献の場としても重要な役割をもっている。

 今治キャンパスは広大な土地を誇っているらしいが、図書施設(図書館ではなく図書室なのか)はどんな規模になるのだろう?大学設置基準としても、遠隔地のキャンパスなら一学部であっても図書館を設置すべきと変更すべきでは、と思う。

疑惑は山積したままの獣医学部新設

 設置審は「認可保留」となったが、今治市で校舎はどんどん建っている。獣医棟の図面が80%ほど、表沙汰となり、実習施設の不足や実験設備においてのバイオハザードの心配まであるらしい。

 この機会に、内閣においての「特区諮問過程」における不審点を整理してみたい。提案主体の◆今治加計学園、担当官庁である◆政府(内閣府文科省含む)、推進側の◆特区諮問会議・WGのそれぞれに不審点がある。

今治加計学園サイド

1.獣医学部の必要性が希薄

 鳥インフルエンザなどの感染症対策や公務員獣医師不足を理由にしているが、根拠としては薄弱。(愛媛県には全国レベルで見ても相当しっかりした家畜保健衛生所が4か所あり、防疫体制も整っている)さらに重要なのは、加計学園からの獣医学部設置の信念・決意の表明がないこと。情熱や意欲、使命感が感じられない。

2.今治市議会で補助金の拙速承認

土地の無償譲渡、校舎建築費の半額補助が住民説明や議会での議論なく2017年3月3日に決定、承認された。補助金の根拠となる設計図も未確認。

3.工事開始判断が不明

特区諮問会議で検討中の平成28年10月、加計学園はボーリング調査を行い、校舎建築に着手。総工費200億円近いことからすると、あまりに無謀、何らかの「保証」を疑わせる。

◆政府(内閣府文科省含む)

1.今治市加計学園と早期に会談

今治市が特区に選定される以前、官邸において首相補佐官今治市加計学園と面会。加計理事長は松野文科相、山本地方創生相、山本農水相と面会。

2.内閣府 今治市を特別扱い

特区において、今治市分科会を設置(京都府には設置せず)。平成28年9月21日の同分科会に農水省文科省の出席を要請

3.山本大臣 獣医師会に働きかけ

特区における公募前に山本大臣は獣医師会に「加計学園獣医学部を新設することになった」と報告

4.文科省 加計学園に事前相談実施

特区での公募以前である平成28年11月に、文科省加計学園に学部新設の相談に乗る

◆特区諮問会議・WG

1.WG委員、諮問会議委員の利益誘導・利益相反の疑い

議長である安倍総理加計学園はもとより、竹中委員とパソナ、原委員と特区ビジネスコンサルティングなど、受審側と提案主体が一体の事例さえある。

2.議事録・議事要旨が未公開

WG委員が行ったヒヤリングは、関係省庁に対するもの12.7%、提案に対するもの35.9%しか公開されていない(情報公開クリアリングハウス 2017年7月20日調べ)。獣医学部についても3月4日以降にHPに掲載。

3.ヒヤリング、諮問会議以外の情報は非公開

省庁間、提案主体と各省庁の協議や手続きは非公開であり、不明。プロセスを検証できない。

4.京都産業大学の提案を軽視

平成28年10月17日の京都府京都産業大学獣医学部設置抑制解除の提案をほとんど検討せず、次のステップに諮問会議が進んだ。

 

 文科省内閣府の間の協議が不透明なことを除いたとしても、不審点はこれほど多数に及ぶ。

 言った、言わないの水掛け論であるとか、議論は終了とか論外だ。大学設置という「学士を養成する」特権を与えているのだから、きちんとした説明がなければならない。

 臨時国会に向けて、民進党もますます追及を強めてもらいたいと思う。

 

 

 

 

今治市の高等教育機関

今治明徳短期大学があるのに、何故、大学を誘致?

 加戸元知事の「大学待望論」をある程度、信じていたので今治市には高等教育機関がないのだと思っていた。ところが、創立50周年を迎えた男女共学の短期大学、今治明徳短期大学が市街地(今治市役所から徒歩圏内)にあった。

 ご多聞によらず、定員割れして久しい短期大学のようではある(全国的な傾向)。とはいえ、社会人入学制度もあり、公開講座も行っていて、地域に開かれた短大であろうと努めているようだ。

 短大だけを経営している学校法人ではなく、中学や高校も併設しているし、戦後に学制が新しくなったときに学校法人を設立しているのだから歴史もある。ということは、地元で入学者が確保できる見通しがあれば、4年制大学を開学する意欲は、あったに違いない。短大のままで頑張っている、そして定員割れに苦しんでいるということは、今治市近辺に新たに4年制大学を設置するようなニーズはないということではないか。加戸元知事は「どの大学にもすげなくされた」と嘆くより、今治明徳短大の将来について、短大関係者とともにもっと知恵をだし、トライアルすべきだったのでないか。

 すでにある短期大学を無視し、ないものねだりで若年層の誘導を図るなんて、不合理かつ理不尽な方策だ。

 今治明徳短大のホームページ⇒今治明徳短期大学 | 大学案内 | 大学の歩み

地元、今治市や愛媛の方たちに思うこと

 「今治加計獣医学部を考える会」が主催した8月19日の講演会の録画を見た。

 寺脇研さんが情熱的に語っておられる姿、黒川さんが冷静に分析して話しておられる姿に感銘を受けたが、対照的に、会場の今治市民が「大学が新設される」ということについて、ほとんど準備らしいものがないことも見てとれた。

 調べてみると、今治市側から大学設立はおろか大学誘致についてもほとんど説明らしきものがなされていないようだ。

 特区諮問会議では、加戸元愛媛県知事今治商工会議所顧問という肩書で出席)が「地元の悲願」と語っていたが、そんな「大学待望論」は感じられない。むしろ、「国家戦略特区という国が決めたことなのに、何故、今治市補助金を出すのか」といった大学誘致の基本的な仕組みがまだ周知されていないという印象がある。

 それならば、今からでも間に合うので、今治市民は学部の新設(=私立大学の誘致)に反対の声を上げるべきだ。このケースのような公私協力方式による大学設立は、当該自治体と大学が緊密に連携・協力し、教育目的を共有して運営していかなければ大半が失敗に終わる。失敗というのは入学者の定員割れが続き、最悪、大学が撤退することだ。自治体には借金だけが残る。

 第3セクター方式で、自治体が学校法人に参加しているようなケースでは、大学を公立にすることで存続をはかることができる(長岡造形大学、1994年設立、2014年公立法人化 名桜大学、1994年設立、2014年公立法人化 など)。だが、自治体の関与が低い場合、大学の誘致であっても、愛知県新城市が誘致した愛知新城大谷大学三重県松坂市が誘致した三重中京大学は共に2013年に閉学している。

 まして、加計学園岡山理科大学今治市に新設するのは獣医学部だけなので募集が困難になったとき、撤退するにあたっての制約は少ない。そのあたり、資金援助にあたって、何か条件をつけているのだろうか。

 8月19日の講演で寺脇さんが語っていたように、私立大学の将来は必ずしも明るいものではない。公私協力方式は、80年代の半ば以降に、大学の地方誘致で国土の均衡ある発展を図りたい国土庁、産業集積型の街づくりを目指す通産省地域活性化の切り札として大学を誘致したい地方自治体、18歳人口の急増期を国立大学の拡充でなく私立大学に委ねたい文部省という「公」の後押しがあって誕生した大学なので、学校法人に教育意欲や力量がなくても、そして何よりも自己資金に乏しくても大学の新設を許してしまう面を持っている。

 土地と建物の建築費援助96億円が、「不当だ」と思うなら声を上げるべきだ。96億円かけても入学者を大歓迎し、共に学ぶという市民が大半という状態でなければ獣医学部の未来はない。

加計学園獣医学部について設置審は判断保留

 

 8月9日に文科省の設置審議会が開催され、8月末の認可は少なくとも「ない」ということが報道された。こんな不正をベースにした学部が新設されるなんて大問題。今後とも見守っていきたい。

 以下はNHKのニュースから

学校法人「加計学園」の来年4月の獣医学部新設について審査する文部科学省の審議会が9日開かれ、実習計画などが不十分で課題があるとして、認可の判断を保留する方針が決まり、今月末に予定されていた大臣への答申は延期される見通しとなりました。

加計学園」が来年4月に愛媛県今治市に新設を計画している獣医学部をめぐり、文部科学省の大学設置審議会は、ことし4月から審査を行い、今月末に結論をまとめて大臣に答申する予定でした。

これまでに審議会は、教員の数や学生の定員について見直すよう求め、学園は、定員を当初より20人少ない140人としたほか、教員を増やす案を提出していました。

関係者によりますと、9日、非公開で審議会が開かれた結果、認可の判断を保留する方針が決まり、今月末に予定されていた大臣への答申は延期される見通しとなりました。保留となった理由としては、学生に対する実習計画が不十分でライフサイエンスの獣医師などを養成するうえで教育環境が整っておらず、課題があるとされたということです。

審議会は今後、学園に修正案の提出を求めたうえで、来月以降、改めて来年4月の新設について審議を行い、認可の判断を行う見通しです。